ブログ

BLOG

措置入院させるにはどうすればいい?制度の基本を確認

措置入院させるにはどうすればいい?制度の基本を確認

精神障害を抱えている場合、集中的に治療を受けるために入院するケースがありますが、患者様ご自身の意思で入院を拒否するケースは少なくありません。

しかし、さまざまな事情によって「患者様をなんとか入院させたい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、患者様の医師に関わらず入院させられる方法について詳しく解説します。

「入院して治療を受けてほしいけど、本人が嫌がっている」
「このままではどうなるかわからず不安」

このようなお悩みを抱えている方の辛いお気持ちが、少しでも軽くなれば幸いです。

措置入院とは|定義を整理

措置入院とは、精神障害が原因で患者様ご自身や周囲へ危害を加えたりする可能性がある場合に、精神保健福祉法29条に基づいて患者様ご自身の意思に関わらず知事、もしくは政令都市の市長の権限によって強制的に入院させられる制度です。

参考:e-Gov法令検索|精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

緊急措置入院との違い

強制的に入院させられる手段として、措置入院のほかに緊急措置入院という似た名称のものがあります。

それぞれの違いについて、表で解説します。

項目措置入院(正式な措置)緊急措置入院(暫定的な措置)
法的根拠精神保健福祉法 第29条精神保健福祉法 第33条の7
入院の目的自傷・他害のおそれがあり、医療保護のために入院させる。緊急に入院させなければ本人や他人に危険が及ぶおそれがある。
決定権者都道府県知事
(または政令指定都市市長)
都道府県知事
(または政令指定都市市長)
必要な医師の診察指定医2名の一致した診察結果が必要。指定医1名の診察で判断できる。
(※時間がないため)
入院の期間原則として必要な期間
(制限なし)
※定期的な再診・継続判断がある。
最大72時間(3日間)以内
→ その間に正式な「措置入院」へ切り替えるかを判断する。
典型的な発動場面状態が悪化しており、明確に自他に危険がある。急な興奮・錯乱・自殺企図など、即時入院が必要。
警察の関与状況により通報・安全確保で関与することあり。危険時は現場に駆けつけるケースが多い。
家族の同意不要(強制的措置)不要(強制的措置)
費用公費負担(都道府県)公費負担(都道府県)
主な流れ①通報・申請
②指定医2名の診察
③知事決定
④入院
①緊急診察(指定医1名)
②72時間以内にもう1名診察
③継続なら措置入院へ切替

措置入院させるうえでの現実的な課題

措置入院は、患者様ご自身の意思に反して強制的に入院させることができる唯一の行政措置です。

ただし、次のような行政措置であるがゆえの課題もあります。

  1. 医師2名の一致診断が必要
  2. 「自傷・他害のおそれ」が明確でなければならない
  3. 行政(都道府県知事)の判断が必須
  4. 家族や医療機関の希望だけでは適用されない
  5. 指定医療機関でしか実施できない
  6. 移送には別途「移送命令」手続きが必要
  7. 医師や行政調整に時間がかかる
  8. 制度が人権保護を前提に設計されている
課題1.医師2名の一致診断が必要2.「自傷・他害のおそれ」が明確でなければならない3.行政(都道府県知事)の判断が必須4.家族や医療機関の希望だけでは適用されない5.指定医療機関でしか実施できない6.移送には別途「移送命令」手続きが必要7.医師や行政調整に時間がかかる8.制度が人権保護を前提に設計されている
内容措置入院は、厚生労働大臣指定の精神保健指定医2名それぞれによる
独立した診察が必要。
両者が一致して「入院が必要」と判断しなければ成立しない。
命や他者の安全に対する具体的かつ現実的危険性が
確認される必要がある。
そのため、単なる興奮・暴言・拒絶では対象外となる。
医師の診断だけでは入院命令は出せない。
都道府県知事(または政令指定都市市長)の正式な決定が
必要。
行政が法的要件を満たすと判断しなければ入院命令は
出せない。
家族や主治医が「措置入院を希望」しても適用とは
ならない。
措置入院は都道府県指定の精神科病院のみで受け入れ可能。
そのため、受け入れ病院の確保が前提となる。
本人が拒否している場合、行政が移送命令(第34条)が必要。
命令に基づき、警察や救急と連携して搬送しなければならない。
「通報→行政調査→指定医2名手配→診察→決定→搬送」
という多段階の流れ。
数時間〜半日以上を要する場合もある。
措置入院は本人の自由を奪う制度。
そのため、「最終手段」として限定的に運用されるよう
設計されている。
制度上の根拠・背景精神保健福祉法第29条により、複数の専門家判断を義務づけている。
誤診や感情的判断による強制入院を防ぐため。
同法第29条により、曖昧な「おそれ」だけでは行政判断を
下すことができない。
慎重な証拠確認が求められる。
医療判断に加え、行政による人権保障を担保する仕組み。
そのため、現場調査・確認を伴うため時間がかかる。
強制力を持つため、私人の要請では発動できない。
行政手続きが不可欠。
都道府県の指定医療機関が対応できる制度。
空床・受け入れ体制の制約が実務上のハードルになる。
本人の身体的自由を制限するため、移送にも独立した法的根拠が必要。
家族だけで強制搬送はできない。
各段階に人員・判断・手続きを伴う。
そのため、迅速な対応が難しい構造になっている。
憲法上の自由権保障とのバランスを取ることが必要。
厚労省の通達でも「慎重な運用」を求めている。

措置入院させるにはどうすればいい?

結論から申し上げれば、ご家族が措置入院をさせたいと思っていても、どうにかできるものではありません。

では、どのようなことをすれば措置入院が適用となるのでしょうか。

措置入院が適用される確率を少しでも上げるためにご家族の皆様ができることを解説します。

状況を「客観的」かつ「具体的に」記録する

患者様に関する次のような情報は、日頃から記録を残すようにしましょう。

【記録すべき事項】

  • 自傷行為・他害行為(またはその未遂)
  • 具体的な言動
  • 警察や救急隊の出動履歴
  • 現在の医療機関での診断・治療経過

残す記録については、客観的な視点で観察し、できるだけ細かく具体的に記すようにしてください。

「通報・相談」から行政・医療につなぐ

措置入院は、行政(保健所など)や警察への通報や相談が起点となるケースが多いです。

万が一の事態とならないよう、連絡先はすぐわかるようにしておきましょう。

「医療保護入院」も視野に

措置入院が適用となるハードルは非常に高いです。

そこで、「医療保護入院」という方法も視野に入れておくことで、選択肢の幅が広がります。

医療保護入院はご家族(保護者)1人の同意と精神保健指定医1名の新圧が必要ですが、措置入院と比較して適用となるハードルが低くなります。

措置入院を検討しなければならないケースはよつば民救へご相談ください

措置入院が適用となり病院へと連れて行く場合、入院を拒否する患者様は少なくありません。

また、 不安定な精神状態となっている患者様を公共交通機関で移動させることにためらいを感じるご家族も多いです。

このように、措置入院が決まった患者様を安全に、そして確実に病院へ連れて行く移動手段をお探しの方は、ぜひ私たち「よつば民救」にお任せください。

よつば民救は、患者様の尊厳を尊重し、できる限り対話を通じて穏やかに病院へと向かっていただくことを心がけております。

患者様だけでなく、これまで患者様を支えてこられたご家族の皆様のお気持ちに寄り添い、新しい一歩を踏み出していただくためのお手伝いをさせていただきますので、まずはお気軽にご連絡いただき、悩みをお聞かせください。

まとめ

患者様ご自身や周囲の方への危害が加わる可能性がある場合に適用となる措置入院。

しかし、措置入院が適用となる患者様は自らの意思で病院へと向かうケースは少なく、拒否される方は多くいらっしゃいます。

このように、措置入院を患者様が拒否し、「なんとかして病院へ連れて行きたい」と悩まれている方は、まずは私たち「よつば民救」へご相談ください。

経験豊富なスタッフが状況を丁寧にお伺いし、安全に、そして確実に病院へ移動していただく方法をご提案させていただきます。

次の記事
一覧を見る