解離性同一性障害の方との接し方について【ご家族の方へ】
患者様ご本人の本来あるべき人格とは異なる、複数の人格が現れる解離性同一性障害。
別人格出現中に起こる記憶の空白や「自分が自分ではない」という感覚などから、強い不安感や現実に対する絶望感を抱いてしまう方は少なくありません。
では、このような辛い苦しみを抱える患者様に対して、ご家族はどのように接してあげればよいのでしょうか。
本記事では、解離性同一性障害に苦しむ方がいらっしゃるご家族の皆様に向けて、接していただく際のポイントや注意点などを詳しくご紹介します。
あわせて症状が不安定になってしまったときや緊急時の対応の仕方もご紹介するので、「大切な家族の苦しみを少しでも和らげたい」と悩まれている方のお役に立てれば幸いです。
解離性同一性障害の方との接し方
複数の人格が入れ替わる解離性同一性障害への接し方に失敗してしまうと、患者様ご自身を追い詰めて症状を悪化させてしまう可能性があります。
別人格(パート)が現れている場合の対応の仕方、また主人格も含めて注意していただきたいことや避けるべき言動を解説します。
別人格(パート)への対応
解離性同一性障害による別人格(パート)は、人格は違えども同じ家族です。
まずはその人格を否定せず、別人格も一人の人間として尊重してあげてください。
そして、話や態度を否定せず、人格の個別の特徴を理解するために柔軟な対応をしてあげましょう。
ただし、車の運転など後の危険に直結するような行動は別人格の性格や年齢などによっては非常に危険なため、できるだけ避けるようにしてください。
コミュニケーションの注意点
患者様ご自身の本来の人格である「主人格」、解離性同一性障害によって現れる複数の「別人格」は、異なる人物ではありますがいずれも人としての自我を持っています。
「本人ではない」と区別することなく、一人の人間として肯定したうえで接してあげてください。
また、例えばAという人格が持つ記憶についてBという人格は覚えていない(記憶の欠落)といったケースは多いです。
忘れてしまっていることに対して攻めることはせず、「解離性同一性障害はこういう病気だ」と理解してあげることも大切です。
病気を理解して別人格を受け入れたうえで、患者様の強い不安感を少しでも軽くしてあげられるよう、安心感を与えられるような優しく落ち着いたトーンで話しかけてあげましょう。
タブーとなる言動や行動
解離性同一性障害に苦しむ方に向けて、「それって演技でしょ?」「気のせいだよ」のように病状を否定するような言葉をかけてしまうと、症状が悪化し追い詰められてしまいます。
追い詰められて耐えることのできない苦痛を感じてしまうと、解離性昏迷(意識はあるのに体が動かない・言葉が話せない)の状態に陥ってしまったり、他の精神疾患を併発したり、最悪の場合は自傷や希死念慮にかられるリスクもあります。
その他にも、特定の人格だけを不必要に邪険に扱ったり、反対に過度に特別扱いをしたりした場合も、他の人格と差別することにつながるため避けるようにしてください。
解離性同一性障害の方が不安定になったときや緊急時の対応について
解離性同一性障害の場合、ご家族がどれだけ意識して接してあげたとしても、私生活でのちょっとしたストレスの蓄積や別人格が生まれる原因となったきっかけのフラッシュバックなどによって解離症状がひどくなってしまうことがあります。
患者様はもちろん、患者様を支えるご家族の皆様を守るためにも、見逃さないでいただきたい危機的状況のサインやすべき対応を覚えておくようにしてください。
危機的状況のサイン
次のような言動は、解離性同一性障害の症状が悪化し非常に危険な状況といえます。
- 自傷行為や自殺をほのめかす言動
- 激しいパニックや混乱、暴力的な言動
- 場所や状況を問わない激しい人格交代や解離状態
これらのサインを見逃さないためにも、主人格・別人格の個性を日頃から観察し、敏感に変化を感じとってあげられるようにしてください。
緊急時の初期対応
万が一、解離性同一性障害の症状が危機的な状況となってしまった場合は、まずは安全をしっかり確保し、声を荒げることなくできる限り冷静に、そして落ち着いた声で話しかけてあげましょう。
しかし、対話によって多少落ち着いたとしてもまたすぐに症状が悪化する恐れがあるため、ご家族による「もう大丈夫」といった自己判断はせず、できるだけ早く主治医をはじめとした専門家へ相談するようにしてください。
解離性同一性障害の方が手に負えない場合の移送手段
解離性同一性障害の症状が悪化して手に負えなくなってしまった場合、はじめに思い浮かべることは「病院へ連れて行く」ということではないでしょうか。
しかし、手の負えなくなってしまった患者様は、どのようにすれば確実に病院へと連れていくことができるのでしょうか。
解離性同一性障害を患う方を病院へと移送するための手段をご紹介します。
公共交通機関
もっとも身近な手段は、電車やバスなどの公共交通機関を利用する方法です。
しかし、解離性同一性障害の患者様は、強い不安や恐怖心によって電車に乗れない方も多くいらっしゃいます。
また、仮に乗れたとしても乗車中に症状が悪化してしまうと、同乗している他のお客様へ迷惑をかけることになるため、付き添いをするご家族の大きな負担となります。
自家用車
第三者へ与える迷惑を考慮し、自家用車で移動される方は多いです。
しかし、車内で急に暴れ出してしまう可能性はゼロではなく、最悪の場合は非常に大きな事故を引き起こすリスクがあります。
民間救急車
公共交通機関や自家用車での移動は、付き添いのご家族だけでなく関係のない第三者へも被害を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを回避して確実に病院へ連れて行きたいとお悩みの方は、民間救急車の利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
一般的な119番の救急車は、精神疾患の患者様の利用が対象外となる場合があります。
しかし、民間救急車であれば緊急性の低い場合でも移送手段としてご利用いただくことができます。
利用料金はサービスを提供する業者や移動距離などによって異なりますが、移動時には看護師や精神疾患に精通したスタッフが同乗してくれるため、安全に、そして確実に病院まで移送することができます。
解離性同一性障害のご家族の移送ならよつば民救まで!
私たちよつば民救は、解離性同一性障害に苦しむ患者様、そして必死に支えようとしていらっしゃるご家族の皆様の心に寄り添い、安全に、そして心を込めて病院まで搬送させていただきます。
心の病に精通したスタッフが、患者様のお気持ちに耳を傾けて尊厳を失うことなく病院へ移送し、治療へ専念していただくためのお手伝いをいたします。
また、24時間対応のご相談窓口をご用意しているので、解離性同一性障害の患者様を支えるご家族の皆様のお気持ちが少しでも軽くなるよう、移動の手段としてだけでなく「心の拠り所」としてもご利用いただけます。
解離性同一性障害によって辛い苦しみを抱える患者様を安全に病院まで移送し、治療に専念させて「苦しみから少しでも解放させてあげたい」とお考えの方は、まずはお気軽によつば民救までご相談ください。
まとめ
ご自身以外にも複数の人格が存在する解離性同一性障害は、記憶の欠落や現実感の喪失など、患者様にとって非常に大きな不安や恐怖を与えてしまいます。
また、患者様を支えるご家族の皆様も個々の人格を理解し、受け入れるためにとても辛い想いをしていらっしゃるのではないでしょうか。
このようなお悩みを抱え、「病院でしっかりと治療を受けてほしい」「大切な家族の苦しみを少しでも減らしてあげたい」と考えていらっしゃる方は、まずは私たちよつば民救へご相談ください。
症状やお悩みを丁寧にヒアリングさせていただき、患者様を安全に病院へお連れして「希望の光へ少しでも近づいていただく」ためのサポートをスタッフ一同全力でさせていただきます。